導入校インタビュー / 取り組み紹介
これまでにミーティングのなかでご紹介いただいた取り組みや議題となったテーマについての記事です。
【Vol.1】英検、受けさせる?受けさせない?
【キッズガーデン 小松 美貴子先生】

日本で英語教育に携わる上で、「英検」について皆様一度は考えたことがあると思います。
GrapeSEEDは「英検対策」のカリキュラムではなく、子どものその時点での瞬間的な成果を測る「テスト」も推奨していないことはみなさんご存知かと思いますが、一方で進学校への受験などを視野に入れた場合に英検を検討せざるを得ない状況が出てくることも事実かと思います。では、私たちはどのように英検などの資格試験を捉えていくことが大事なのでしょうか。
今回は2010年にGrapeSEEDを開始され、今年で導入12年目となる九品寺こども園様の英語教育に携わり、またご自身のスクールでもGrapeSEEDを導入されている「英会話スクール キッズガーデン」の小松 美貴子先生にお話を伺いたいと思います。
GrapeSEEDを導入したきっかけを教えてください。
小松先生:当スクールにおいては、別のカリキュラムを使って、約25年前から英会話スクールを運営し、九品寺こども園にはインターナショナルコース発足時から深く関わらせていただいておりました。2009年、英語教育で有名な明泉幼稚園のノウハウが詰まったカリキュラムが発表されるということで、説明会や明泉幼稚園の見学会などに何度も足を運ばせていただきました。その仕組みや組み⽴て⽅などを知れば知るほど「これだな」という気持ちになり、これまでのカリキュラムからGrapeSEEDへ切り替える決⼼に時間はかかりませんでした。
導入してから、子どもたちにはどんな変化が見えましたか。
小松先生:今までのカリキュラムとのレッスンの違いが、子どもたちにも変化を与えていると感じています。GrapeSEEDのレッスンは本物の音を常に聞いていて、子どもたちの口が常に動いています。これは今までのレッスンと比べると大きな差です。結果、本物の音を聞く耳と、常に英語を発していることで発音の良さもそうですが、言葉というのは急には口に出すことはできないので、子どもたちの英語力に一番影響したと思います。
逆に続けている中で課題も見えたと思います。どのようなものだったでしょうか。
小松先生:小学校6年生までどうやって続けてもらうのか、継続人数を増やすことができるのかは課題と感じています。実際に小学3〜4年生になってくると、初めて見るセンテンスがランダムに出てきても、意識せずに読むことができるようになってきます。子どもたち自身もそれに気がついていないのですが、これができるということは非常に素晴らしいことです。このような成長を学年ごとに工夫して、保護者や子どもたちに伝え、継続人数を増やしていく必要がありますが、まだ課題があると感じています。
保護者の皆様にとって、我が子がどれだけの力を身に付けているのか不安に思われますよね。GrapeSEEDでは子どもたちの緊張や不安を煽らないためにもテストなどを推奨してないので、特に見えづらいところはあると思います。そんな中、小松先生はGrapeSEED導入校の中でもいち早く、英検を子どもたちに受けさせることにチャレンジされたとお聞きしております。それはどのような理由からでしょうか。
小松先生:月謝を頂いている以上、保護者に満足感を感じていただき、モチベーションを維持するためにも、小学校2〜3年生で英検を受けることができるようにしています。しかし、あくまでも「保護者のためにやっている」ということを、丁寧に保護者に対して以下のように説明しています。
「GrapeSEEDはテストや資格試験のために作られたカリキュラムではありません。しかしながら親御さんの気持ちがよくわかるからこそ、目に見える一つのアイテムとして英検を受けさせます。ただし、受けるのは簡単ですが、受けさせれば合否が出てきます。合否が出るということは、子どもたちの気持ちをものすごく左右するプロセスになります。5級に受かったからということで、外部で次の級をぽんぽん受けさせる方もいるが、そうすると落ちてしまう子どももいます。全員が絶対に受かるわけではないので、そうなると英語そのものが嫌になる子どももいます。だからこそ、いかなる時も大人の関わり方は常に気をつける必要があります。」
全ての保護者に対してこのような説明を行った上で、英検を受けさせることにしていますが、小学校6年生ぐらいで準2級は取れる子もいますし、中学校にもなると2級も普通に取れています。それはGrapeSEEDをやっているからこそ、聞く力・読む力が他のカリキュラムとは比較にならないぐらい身についてくるのだと感じています。
なるほど、小学生でその級に合格するのは驚きです。しかしながら、GrapeSEEDで英語を習うだけでそのまま合格するのは難しいですよね。
小松先生:はい、英検を受けさせるためには、GrapeSEEDのレッスンとは別に、必ず英検対策をする必要があります。
実際に、GrapeSEEDの子どもたちが英検を受けるにあたって十分な部分と足りない部分はどこだと考えていますか。
小松先生:まず十分な力としてはリスニング力、急にやったからといって身につくものではなく、小さな頃からの積み重ねなので、すごい力だと感じています。また、読解問題については長文への対応力が素晴らしいです。単文、短い2〜3行の文章、物語、と少しずつ読む内容が長くなるようにカリキュラムが進んでいきますので、子どもたちはいざ長文が出題されたとしても、臆することなく最後まで読むことができるようになっています。通常だと、長文を最初から自然と読めることはまず難しく、集中力も続かずに目を離してしまう子どもが多いです。しかし、GrapeSEEDの子どもたちはしっかりと長文に向き合うことができます。これはやはり今までの積み重ねの力だと考えています。
逆に足りない部分としては、「試験慣れ」していないということです。当スクールでは対策としてテキストを使わずに過去問を解かせることしかしていません。それは今の日本の英語教育市場で出回っている英検対策テキストがほとんど「文法中心」のものだからです。これではGrapeSEEDの子どもたちには適合せず、せっかく自然な形で身につけてきた英語とのバランスをとることが難しくなってきます。英検を受けるならば、文法的な英語の説明がどうしても必要にはなってきますが、過去問を解かせて、つまづいたところについてフォローアップを行い、子どもたちから文法に関する質問を貰った時やどうしても必要な時に限って文法的なアプローチを行っています。子どもたちの「なぜ」「知りたい」「理解したい」をきちんと解消して納得させてあげることで、良い刺激になることもたくさんあるので、バランスをとりながらそのような取り組みを進めています。
小松先生は「英検」をどのように捉えていますか。
小松先生:親と子ども、両方にとっての意欲づけのツールの一つです。合否はありますが、合格をしたら、達成感を感じることができます。これは、何級であろうと、何歳であろうと、同じです。ただ、軽い気持ちで次の級へどんどん進んでいくと、子どもたちは付いていけなくなります。その辺りを大人が気をつけながら、子どもの様子をきちんと見てサポートしていく必要があります。
子どもたちに英検を受けさせようと考えている先生たちへ、伝えたいことはありますか。
小松先生:まずは英検を受けさせる目的を確かめることが重要です。急いでやらなくても良いのに、なぜ受けさせるのか。保護者と英検のお話をするとき、極論ですが「クラスの中で我が子だけ落ちたらどうするのか?」という話もします。子どものやる気を保ち、英語の学びを継続してもらうためにも、その辺りをきちんと確認して、しっかりとお話をした上で受けるかどうかをご判断いただいています。子どもの成果が見えるツールではありますが、少し間違えば子どものやる気を一気に失わせ、英語嫌いになる可能性のある、諸刃の剣であることを忘れないように、慎重に取り扱うことが重要です。
子どもたちの楽しく英語ができる時間は限られていて、すぐそこに「勉強の英語」の世界が待ち構えています。だからこそ、GrapeSEEDで英語の基礎力、次のステップにスムーズに進むことができて、どんな英語にも対応できる力を身につけることができる環境を、私たち大人が整えていければ良いですね。